お陰様で2周年です(ノД`)・゜・。

こんばんわ~~~~、ケシで御座います。


前回の記事で、ご訪問者様にはご心配をおかけしまして、
沢山の励ましのお言葉、本当にありがとうございます(*´∀`*)ノシ

ワタシの家には、ミニチュア・シュナウザーの爺様が2名おりました。
その内の1名が3月30日に、14歳の天寿を全う致しまして天に召されました。
今はもう1名(13歳・♂)とケシ子の2人暮らしです。
子供の頃からずっと、犬のいる生活でしたが。
やはりお別れは何度経験しても悲しいです。
特にその子は、ワタシが初めて自分で飼った子だったので思い入れは一番でした。
それでもワタシがこの経験から、何を得て何を感じるのか。
それが重要なのでは無いかと思うのです。
他人には解らないであろう事ですが、ワタシの中では確実に岐路となる春に違いないと感じております。
真っ当に生きようと思います。
時間や日常をもっと、大切に生きようと思います。



まぁ、それはさておき。
お陰様で、このブログを開設して今日でちょうど2年になりました。
お話しをまた書いて行こうかなと、少し上向いてきたので頑張ります(´∀`◎)

更新をしていないと解っていても、来て下さる方。
今まで書いたお話しを、読み返して拍手を押して下さる方。
温かい励ましのお言葉を下さる方。
2年間、ブログを楽しんで続けられたのは、
ワタシの自己満足なお話しに共感して下さる方が、居て下さったお陰です。
これから先も、多分。
ワタシは、自分勝手な管理人です。
自分の萌えるものしか書きません。
自分の考えを表明する時に、遠慮はしません。
自分の意に沿わない馴れ合いをするつもりもありません。
好き勝手にやってる自覚はあります(笑)
でも楽しんでやって行くのが、基本だと思っております。

こんな当ブログでよろしければ、これから先もヨロシクお願い申し上げます(*´∀`*)ノシ


2014.04.14.ケシ


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[ 2014/04/14 21:13 ] ごあいさつとお知らせ | TB(0) | CM(2)

Dreams to remember

ベッドの中で煙草を咥えた男がまるで、呆れて笑ったように見えたので。
香は彼の首に腕を巻き付けて、彼を見据えた。
10日振りにこの寝室に戻って来た相棒に、香はそれだけで胸が一杯になった。














「大丈夫?香さん。良かったら、いつでもウチにいらっしゃいよ。」


美樹が香にそう言ったのは、僚が単独の“仕事”に出てから4日目の事だった。
僚は出がけに暫く家を空けると、香に告げた。
何処に行くとも、何をするとも、どの位掛かるとも言わずに。
ただ、暫く帰れないと言っただけだった。
勿論、こういう事は今に始まった事でも無い。
これまでにも何度もあった。
僚と香が、今では本当の相棒だと誰もが認める間柄でも、僚にしか解らない事はまだ沢山ある。
僚が考えて、僚が判断して、僚1人で動く時。
香はその決定に対しては、口を挟まないと心に決めている。
もっと無鉄砲だった頃の香なら、詳細を明らかにしない僚に苛立ったり、八つ当たりしたりもした。

けれど今は、香にしか出来ないサポートがあるのではないかという事が解り始めた。
ホンの少しだけ、僚の求めている事が解るような気がしている。
それは多分、行かないで欲しいと縋ったり、連れて行けと駄々を捏ねる事では無く。
僚を信じるという事ではないかと、香は思っている。





「たまには一緒に、お茶でもどうかね」


教授がそう言ってさり気なく、香を屋敷に呼んだのは僚の不在7日目の事だった。
1週間の間に数度、僚から電話があった。
何をしているのかも何処にいるのかも明かさない僚は、しかし。
生きてるから、と言ってヒッソリと笑った。
だから香も、他愛も無い話しをして小さく笑った。
香と一緒にお茶を飲む老人は、核心には触れないように香に今回の仕事について仄めかす。
それがどうやら教授絡みであり、
過去に僚が関わった事案に纏わるものだという事を暗に教えてくれる。


香と僚を取り巻く人たちは、みんな優しい。


香がそう思いながら、洗濯機の回るのを眺めていたのは僚の不在9日目の事だった。
僚が居ないから、家の中は散らからない。
脱ぎ捨てて丸めた靴下も、灰が積もった灰皿もない。
もう着ないであろう冬物を片付ける前に、香はもう一度纏めて洗った。
僚の分と香の分の、ウールのセーターばかり数着。
ウール洗い専用の洗剤と柔軟剤を入れて、洗濯機を回す。
香のクリーム色のVネックのセーターの袖と、僚の紺色のアランセーターの袖が絡まる。
アランセーターは、昔、漁師の妻が荒波に揉まれて働く夫の無事を祈りつつ、
万が一の事故の時に、その身元が解るように家族ごとに独自の柄を編んだという。
その紺色のセーターは、香が編んだ。
複雑な模様は編めないけれど、セーターの身頃の裏に黄色い糸で小さくイニシャルを刺繍した。
香だけが知っている、僚の印。
僚は絶対に帰ってくる。
香がココにいる限り、必ず帰って来る。
なんの根拠も無いけれど、香はそう信じている。



10日目、僚は帰って来た。
無精ヒゲを生やして、お腹を空かせて帰って来た。
香の作った食事を平らげ、風呂に入ったら、香を抱えて寝室へ直行した。
まるで数日間の不在など無かったかのように、無邪気に香を抱いた。
首筋に鼻先を埋め、薄い背中を撫ぜた。
グッタリと微睡む香の隣で紫煙を燻らせながら、楽しげに僚がそう言った。





おまぁは、馬鹿だな。馬鹿みたいに信じてるんだな。





馬鹿だと言われて嬉しいなんて、きっと僚の言葉を読み取る事が出来るのは香だけだ。
煙草を咥えた僚に抱き付いたら、僚は煙草を灰皿に押し付けた。
2人の視線が絡まる。





アタシが、この世でアンタ以外の誰を信じるっていうのよ?





香がそう言うと僚は、本当に嬉しそうに笑う。
しなやかで強靭な僚の筋肉に爪を立てて、香は僚を求める。
自分の一番大事な務めは、僚を信じる事だと香は思う。
僚を心の底から笑わせる事だと思う。
2人には夢がある。
きっと他人に聞かせたら、笑われるだろう夢がある。
こんな稼業で明日をも知れない暮らしなのに、夢を見ている。


抱き締めて口付てお互いの温もりを確かめ合ってまるでお伽噺の世界のようだと、2人はクスクス笑う。








[ 2014/04/14 23:44 ] 短いお話 | TB(0) | CM(2)

07 背中越し

香が薄ぼんやりと目覚めたのは、夜明け前の世界が1番静かな時間帯だった。
冴羽家の主寝室も例に漏れずシンとして、愛しい相棒の規則正しい寝息だけが聞こえる。
目覚めた香のすぐ目の前にあったのは、大きな肌色の壁だった。
香に背中を向ける形で僚は眠っている。
裸の上半身に、ボクサーショーツ。
体温の高い男は、長い脚を掛布団の外に大きくはみ出している。
背骨に沿ったえくぼのような窪みと、隆起した筋肉のうねり。
見た目にも滑らかな小麦色の皮膚の上には、時間の経過した傷痕が幾つも浮いている。
それは小さく盛り上がり、小さく抉れている。
小麦色の肌色の上に、それより少しだけトーンの明るい肌色のクレヨンで描いたような傷痕は、
指先で触れるとツルツルしている。
香は視線を、僚の背中から己の手首へと移す。
青紫色の痣の浮かぶ手首は薄皮が捲れ、昨夜風呂に入ると少しだけ沁みた。







その時不意に、香が思い出した僚との過去のやり取りは、一体いつのモノだっただろう。
あの時はまだ、僚の考えている事が読めなくて。
けれどその大きな背中に追い付きたくて躍起になっていた頃だから、
香もまだ、今より子供だった。
何の話しの続きからそういう話になったのかは、今となってはもう思い出せないけれど。
香は僚に訊ねた事がある。
かなり冗談めかせた口調とは裏腹に、薄茶色の瞳が至って真剣だった事に香自身の自覚は無い。



アタシがもしも死んだら、少しぐらいは悲しんでくれる?



香はあの頃、僚にとっての己の存在価値がどの程度のものなのか。
それが知りたくて堪らなかった。
例えばジャケットに付いた糸屑のように。
例えばテーブルの上のパン屑のように。
もしも、僚にとって自分が取るに足らないモノだとすれば、僚の傍にいる意味は無いに等しい。
だからそれは知りたくて堪らないと同時に、知るのが怖い事でもあった。
あの時、僚は。
香の後頭部をパシンとはたくと、つまらねえ事言うんじゃねえと笑った。
そして。



おまぁが死んだら、兄貴の隣に埋めてやるから安心しな。




そう言って、香を置いてスタスタと歩いて行ってしまった。
取り残されたような気持ちになって香は、慌てて僚の背中を追い掛けた。
追い付いて僚の背中を叩いた。
じゃあ、アタシはアンタの死に様を見届けてやるっっ、そう言った香には答えず僚は低く笑った。
香は僚の顔を見上げたけれど、僚の表情からは何も読み取る事は出来なかった。




香はいつでも、どんな会話からでも僚の言葉の端々を何度も思い返して、
僚の思考を探ろうと必死だった。
少しでも優しい言葉が聴けたら、何度も何度も噛み締めて僚の傍に居る勇気に代えた。
それがたとえ都合の良い解釈でも、香の思い違いだとしても。
香にとって僚の言葉や態度は、香のアイデンティティを決定づける重要なファクターだった。








香は手首を見ながら、午後の車の中での僚の横顔を思い出していた。


僚を狙う殺し屋に捕えられた香の拘束を解いてくれたのは、僚だった。
手荒に戒められた手首と足首は、擦れて傷を作り、着衣は土埃に塗れていた。
香を助け出して家路に着く車内で、僚は少しだけ苦しそうな顔をして言ったのだ。













お前が死んだら、俺も死ぬから。
俺を殺したく無かったら、お前は何がなんでも生き延びろ。





そう言って僚はやっぱり低く笑った。
今の香には、僚の気持ちが痛いほどよく解る。
あの頃、どれだけ思い詰めても解らなかった僚の気持ちが。

香を抱きながら、僚は香の手首に優しく何度もキスを落とした。
大きくて追い付けない、謎だらけだった広い背中にも。
今では何の躊躇いも無く頬を寄せる事が出来る。
僚に残った傷痕の数だけ、香は僚を癒す事が出来ればと考える。

香自身が傷付く事は、間接的に僚を苦しめる。
強くなりたいと、香は思う。
あんな風に自嘲(わら)う僚の顔を見るのは辛い。
僚に守られながらも、僚の事を守ってあげたいと思う。




香は僚の背中に頬をくっ付けて、分厚い腰に腕を回す。
僚の体温は驚く程高い。








なぁに、カオリン。それって、お誘いだと思って良いの?





寝ているとばかり思っていた相棒は、クルリと向きを変えると、
目にも留まらぬ早業で、香を組み敷く。
楽しげな眼をした僚は、まるで子供のように無邪気だ。
確かに香は少しだけ、この展開を期待していた。
優しくなどしてくれなくても構わないから、しっかりと抱きしめて欲しいと思った。




いいよ。




密やかにそう囁いた香の返事を確認して、僚の唇がふわりと落ちて来た。
夜明け前の一番静かな時間に、張り詰めた空気が解ける。
香の指先が僚の背中を、ゆっくりと撫ぜる。
まるでそこにある傷痕のひとつひとつを確かめるように。




06 停滞した空気

僚は目が覚めた寝室の薄暗さに、軽く落胆した。



明らかに、朝とは言えない午前11:00
いつもの手荒な相棒のモーニングコールは、未だ無い。
したがって寝室の窓のブラインドは、昨夜のままぴっちりと閉ざされている。
因みに、相棒は。
モーニングコールもまだだけど、この3日この寝室に寄り付きもしない。
どうやらこの間、数カ月ぶりに6階の客間兼自室で眠っているらしい。
どうせ待っていても起こしに来ないのだから、意を決して起床するしか仕方ない。

6階に降りてリビングに顔を出すと、リビングの片隅は急場しのぎの物干し場になっていた。
柔軟剤の薫りがリビングに充満している。
香はきっとキッチンに居る。
僚はカーテンの開けられたベランダの外を見遣ると、軽く溜息を吐いた。






停滞した雨雲が本州全域に居座って、もう5日。

派手さは無いモノの、地味にシトシトと陰鬱な雨が降り続いてる。
春とはいえ、こうも続くと少しばかり肌寒い。
だからそもそも、香のご機嫌は最悪だったのだ、そうでなくとも。
ご機嫌ナナメの香の逆鱗に触れたのは、
言い訳の夜遊びでも無く、その裏にある仕事(ころし)でも無く。

ゲランのサムサラだ。




確かにあの晩、仕事を終えた後に冴子に接触する必要があった訳で。
あの女狐ときたら、どんなに夜の深い時間でも新鮮な薫りを纏っていて。
そもそも、あの男顔負けの激務の中で、ネイルや薫りに手を抜かない所はある意味、
女性らしさと云うよりも、僚には恐怖を思わせる。
きっと、それらは彼女にとっては武装の一種だろう。
そして僚にとっては、愛しい相棒との間の火種ともなる迷惑な代物だ。
確かに、2人の身近であの薫りを愛用しているのは冴子1人だ。
香の嗅覚はまるで犬並みに鋭い。
濃密な硝煙よりも、香の心を掻き乱すのはどうやら白檀とバニラの薫る移り香らしい。


僚は後になって知った事だけど。
僚と香がコンビを組んでまだ間もない頃、
冴子はどうやら香に何やら余計な昔話をした事があるらしい。
まだ、子供同然だった香にとって、“三角関係”という言葉は。
まるで少女漫画や、メロドラマを彷彿とさせるもの以外の何物でも無く。
だから、兄と僚と冴子の関係に、香は過剰なまでに嫉妬する。
勿論、香が思っていたような事は何も無い。
少なくとも僚と冴子の間には。
冴子と槇村が、果たしてどの程度の仲だったのか、恋仲だったのは言うまでも無いが、
それがどんなものだったのかすら、僚は正直良く知らない。
というか、興味は無かった。
2人とはある時期、一番身近で一番打ち解けた間柄だったけれど、
今にして思うと、2人のプライベートな事はさして良く知らなかった。

槇村には香という家族が居て、彼は彼女に僚を近付ける事を躊躇っていたし。
冴子にしても、父親や身内全てが警察官僚という社会的立場を鑑みると、
僚はむしろ自分の方から、冴子との表立った接触や深入りは禁物だと考えていた。
そもそもが、僚自身、冴子や槇村と棲む世界の違う人間だと思い続けながらも運命は絡まった。
勿論香も、向こう岸の世界の人間だと僚は思っていた、昔は。


香にとって、僚は言うまでも無く兄・秀幸もまた、特別な男だ。
その2人の男に深く関わる(と思われる)女狐は、
まるで喉の奥に突き刺さった小骨のように、いつまで経っても抜けない棘のようなモノだ。
たとえ、僚との関係が進んでも、どんなに愛されているという実感があっても。
否、だからこそ、嫉妬は別腹なのだ。

けれど、冴子にとっても香という女が、ある意味では特別であるという事は僚も知っている。
冴子がこれまで誰よりも惚れた唯一の男にとっての、唯一の存在。
もしかすると、自分以上に彼に愛された彼女。
たとえ槇村に嫉妬を向けても、妹に妬く無様な女だと思われるのが関の山だと、
賢い大人の女は悟ってしまっていて、可愛く拗ねるという手管など使えない。
そのやり場の無い感情の捌け口に、僚が選ばれた事も知っている。
それはある時には、朝まで飲み屋で付き合わされた愚痴の聞き役であったし。
ある時には、切迫した面持ちの大人のお誘いでもあった。
けれど僚は、不思議と冴子の誘いに乗る気にはなれなかった。
今にして思えば、大切だったのだ。
槇村秀幸との関係が。
そこを反故にしてまで、やりたい女など皆無だったし、
そういう意味では冴子は、最悪に後腐れ大アリの相手だった。




こうして振り返ると、結果的にやらなくて正解だったと、僚は結論付ける。


槇村との軋轢というよりむしろ、香に対する潔白という意味で。
一度でもやっていれば、こんな風に胸を張って無実だとは言えなかったかもしれないから。
僚はこの3日、無実を叫び続けている。
香は聞いていないフリを決め込みながら、その実、
態度を軟化させるきっかけを模索しているのが現状ではないかと、僚は踏んでいる。
今回に限り、移り香の理由を説明する為に、
依頼の全容は割愛して、冴子からの依頼を単独で請けた事だけは話した。
だから、その点は一定の評価はして貰えたらしい。(勿論、依頼料を家計に回すのが前提だ。)
日頃の秘密主義が、この時ばかりは功を奏した。
だから、香がこうも拗ねている理由は、感情の問題だ。







おはよ。





シンクに向かってフライパンを洗っている香からの返事は、無い。
キッチンに水音だけが響く。
普段、口やかましい程に挨拶に煩い相棒の態度は、多少矛盾を感じなくも無いけれど、
僚はそこには触れない。
女なんて生き物は、矛盾の塊だし、そこが可愛いと言えなくも無い。
僚は自分の席に着いて、畳んで置かれた朝刊を広げる。
目の前の皿には、焼き立ての目玉焼きと、カリカリに焦げたベーコンと、
オニオンスライスがこれでもかと入ったサラダに、トーストがある。
新玉葱は生で食べるのが美味しいのよねぇ、と言いながら笑った1週間前の香を思い出す。
僚はなるべく軽い感じで、普通に声を掛ける。
ヤキモチ焼きの恋人には、辛抱強く接するのも重要なのだ。




ん?挨拶は1日の始まりの大切なコミュニケーションだぞお、カオリン。



これは日頃の、香の口癖だ。
もっとも、香の場合。
おはようの前に、間髪入れずに目覚まし代わりのハンマーが飛んで来るのだが。
僚はそれも込みで、大切なコミュニケーションだと認識している。
香はフライパンの泡を流し切って、ゆっくりと振り返る。
まるで歌舞伎役者が見栄を切っているかのような力強い目線をくれて、
おはよう。と、挨拶を返した。
僚は新聞で顔を隠しながら咳払いを1つして、その言葉を切り出した。







まだ、怒ってんの?カオリン?何回も言ってるケド、ほんと何も無いか・・


解ぁってるわょっっ、てかなんかあったら今頃アンタ死んでるわよ?



僚の言葉をさえぎって放たれたのは、激しくも恐ろしい愛の言葉だ。
たとえ痴情の縺れでも、その辺の同業者に殺られるぐらいなら、香に殺された方がマシである。
自分の事をこれ程までに深く愛している女に、
むしろ殺られたいと思う程度には、僚も香にイカレテいる。
この3日間、ココから先へ話しが進まなかった。
香がこうして会話を強制終了し、2人黙々と食事に集中した。
けれど今朝は、香も少しこの数日を省みたらしい。
雲の切れ間から一筋の光明が差したかのように、僚には思えた。
それまでの声音と違い、香の声は小さく掠れていた。
香の本音は、むしろこちらの方なのだと僚は愛おしさが募る。





・・・嫌いなの、あの匂い。




勿論、それがただの嫉妬でも構わない。
理不尽で狭量で子供じみた言い草だという事は、誰より香本人が自覚している筈だ。
だから、僚のやるべき事は1つ。
香の言葉を決して否定しない事。




うん、俺も。




3日ぶりに、香の表情が和らいだ。
こんな香は時々、妙に子供っぽくて、僚は初めて逢った日の事を思い出す。
香は日向と石鹸の匂いがする。
香には、大人の女の手管も武装も何も要らない。
だから僚は香を信用出来る。
香は嘘が吐けないし、僚を裏切らない。






だからさぁ、俺の事マーキングしてよ。おまぁの匂いで。




そう言った僚に、香が不敵に笑った。
それまでの子供っぽい嫉妬の表情が一変して、妖艶なモノに変わる。
今では香も僚の言葉が持つ意味くらい、理解している。
香は返事の代わりに、僚の皿の上のベーコンをひと欠片摘んで口に入れた。
ベーコンの脂は、香の唇に艶を与える。



空模様よりも一足早く、停滞した空気が一掃された。










ワタシの脳内イメージでは、冴子の香水はゲランのサムサラで。
美樹さんが、ジルサンダーの4番。

カオリンの匂いは、牛乳石鹸です。