よくある家族の作り方

30000Hits Req. Vol.6  ケシmeetsもりゅ 



リクエスト企画第6弾は、もりゅ様からのリクエストです(*´∀`*)ノ
『よくある恋の見つけ方』の冴羽課長と、槇村君のその後。近い将来のお話しです。
お時間のある方は、初めから読んでみるのもイイかもですよォ~~~~♪























「綺麗よ、香さん。良く似合ってるわ。」



鏡越しに美樹が、ニッコリと笑う。
こんな真っ白なドレスを着たのは、生れて初めての事で。
香は必要以上に、緊張した。
鏡に映った自分は、いつもより手の込んだメイクを施され、
いつもは短く切り整えられた指先を、白を基調にしてストーンを散りばめたネイルが飾っている。
癖毛のショートヘアはふんわりとカールされて、レースのヴェールを被っている。


香も一応、それなりに。
自分がウェディングドレスを着る所を、どんな風になるんだろうと夢見ていた。


小学校に上がる前は、無邪気にお兄ちゃんのお嫁さんになりたかった。
思春期になって、兄とは血の繋がりが無いと知って。
香は苦しんだ。
お兄ちゃんとは結婚出来ないんだと知って、諦めて。
それなのに本当は兄妹じゃないと解っても、やっぱり自分の気持ちはいけない事なんだと諦めた。
いつかは、誰かを好きになって。
兄と腕を組んでバージンロードを歩くんだろうと思っていた。
でも。
それすら叶わぬ夢となってしまった香には、1年前の今頃にこんな未来は想像していなかった。







3月の終わりの、香の誕生日に結婚しようと言ったのは僚だった。




僚と初めて逢ったのは、ちょうど一年近く前の春の終わりだった。
年季の入った狭いエレベーターの中で、尋常じゃ無いほど酒臭い僚と乗り合わせて、
香は窒息寸前だった。
あの時香は内心、この人と同じ職場だったらどうしよう、と焦っていた。
その相手と、一年後。
こうして愛し合っているという運命に、思わず笑みが零れる。



僚は香にとって、この世界で唯一の香のヒーローで、
二日酔いでサンダル履きの、白馬に乗った王子様だった。












クリスマスをまったりと過ごし、年末の休暇に入った2人は。
僚の部屋で年越しを迎えた。
厳密に言えば、僚のベッドの中で抱き合っていた。
その数日前の、クリスマス。
僚は香に、美しいダイヤのあしらわれたプラチナのリングを贈った。
華奢な香の左手の薬指に、あの日僚が嵌めてから今朝まで一度も外さなかったそれを。
今朝は、鏡台の抽斗の中の、赤いベルベット張りの小さな箱の中に仕舞って来た。
今日からこの同じ指に。
何の飾りも無い、シンプルなプラチナの僚と揃いのリングを嵌める。






正月、僚に連れられて成田に出迎えに行った。
初めて逢う筈の、僚の父親を。



しかし、彼の香に出逢った第一声は。


『やぁ、香。久し振りだね、大きくなったね。』


というモノだった。
そこでまず第一のパニックは訪れた。
その後、数日に亘って3人で休暇を過ごしながら。
香は自分でも知らない自分の過去を、恋人の父親に聞かされた。
香の父親の事、父親同士(何と、勤め先の社長も!!)の絆の事。
僚の境遇と自分の境遇の、意外な共通点。
そして、あの時に出逢えた偶然を想うと。
もしかすると、運命ってあるのかもしれないと香は考えた。
僚も自分もあの時はまだ、何も知らなかった筈だから。



彼は僚が言っていた通り、それから半月ほど日本に滞在した。



それからの2人の変化は、まるで小さな嵐のようだった。
何故だか僚の父は、2人の結婚を前提にどんどんと話しを進めて行った。
一月の終わりには、香は僚のビルに越して来て、結婚を前提とした同棲生活が始まった。
バレンタインデイに、僚が正式にもう一度プロポーズをしてくれた。




3月の香の生まれた日に、家族になろうと。



香がこの世に生まれて来た事を、神様に感謝しているからと。
生れてすぐに交通事故で両親を失った女の子と、
2歳の時に飛行機事故で両親を失った男の子が、漸く自分たちの家族を作る。
香は迷わずOKした。









どうやら僚は、途轍もない事業家の跡取りであるらしいと。
僚と付き合うようになって、香は初めて知った。
僚を引き取って育てた、本当は叔父でもある父親は。
帰る間際の空港で、香にそっと耳打ちした。
香を自分の娘だと思っていると。
だから。
何にも心配せずに、嫁に来てやってくれないかと。



父親が死んだ時、香は幼くて、悲しいという事で精一杯で、周りを見る余裕など無かった。
葬式の席で、そんな香を心配していたという彼は、
これから先、香の父に代わって香の義父になりたいのだそうだ。


『なんなら、先に孫を作っても構わないよ?』


そんな言葉を残して、彼は搭乗ゲートへと吸い込まれるように消えた。










結婚と聞いて、迷いなど無かった香だけれど、少しだけ不安になった。


香の身内は、父も兄ももう既に他界している。
近しい付き合いのある親戚も、全くいない。
友達付き合いも、この数年、色々と傷付く事があって女友達は美樹とかずえ以外いない。
片や、僚の家は。
さぞかし華やかな付き合いをしなければいけないのではないかと思うと、香は不安だった。

けれども僚の提案は、意外だった。





数年前に、伊集院夫妻が挙式したという、奥多摩にある古めかしい教会を僚は押さえて来た。
そこで。
友人だけで、こじんまりと式を挙げようというモノだ。
不思議な事にそんな計画に、義父である海原神も快諾したらしい。
そんなワケで、あれよあれよと言う間に話しは進み。
それでも2人は相変わらず、イチャイチャと仲睦まじく生活し、
会社では香は僚を“課長”と呼んだ。


2人で食卓を囲み、時々一緒に風呂に入って、週に5日はセックスをし、毎日沢山キスをした。








そろそろよ?





そう言って、かずえが控室に声を掛ける。
因みに、ミックとかずえも。
2ヵ月後の6月には、式を挙げる。
僚の真似をして大人になってきたミックは、やっぱり。
僚に倣って、かずえと落ち着いた交際をしてみて、自分には彼女しかいないと悟ったらしい。
これで、翻訳課の奇人変人たちは全員、晴れて既婚者となる。
伊集院夫妻が常々提唱してきた、結婚は、一生続く恋愛。というスローガンは、
編集部別室・翻訳課の合言葉になった。













少しだけ光沢のある、真珠色のドレスがふわりと現れる。
今初めて見る美しい恋人は、これからの1時間ほどのセレモニーを終えた頃には、
妻になる。


愛を誓う。

キスをして、指輪を交わす。

病める時も健やかなる時も、雨の日も晴れの日も。



2人は多分、屋上で星を見て、公園を散歩する。
同じ苗字になって、一緒に会社に通い。
週末には、時間をかけて愛し合う。
友人たちと、BBQをして花火を見上げる。





香が夢見たのは、そんな普通のありふれた結婚。
















この時の2人はまだ。
数か月後、アメリカの僚の実家で、
ド派手なお披露目パーティーが、大々的に企画されている事など知る由も無い。



今はまだ、湖畔の静かな教会で嵐の前の静けさ。













もりゅ様のリクエスト、冴羽課長と槇村さんの結婚式。
もりゅ様は他の人とリクエストが被るのを気にしてらっしゃいましたが、
幸い、皆様一人も重なる事なく、それぞれ独創的なリクエストを戴きましたぁ(о´∀`о)

こんな感じですが、如何でしょうか???もりゅ様っっ
これからも、お話しは勿論の事、お絵描きとか着せ替えとかますます脱線気味の当ブログですが。
更新続けて参りますので、どうぞ遊びに来てやって下さいまし~~~
ありがとうございまぁ~~~っす!
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