冴羽探偵と槇村助手

30000Hits Req. Vol.2 ケシ meets びんちゃん



ヒット企画第2弾・短編でございます(*´∀`*)ノ
リクエストの内容は、『君の名は』の槇村さんと冴羽さんのその後。との事。
ご存知無い方は、先にそちらをお読みになった方が良いですよ~~~♪

























新宿・歌舞伎町と目と鼻の先、その何の変哲も無い古ぼけた7階建てのビルに、
探偵事務所『冴羽商事』はある。
槇村香は毎朝、9:00にはこの事務所にやって来て仕事を始める。
と言っても、朝9:00に事務所のオーナー兼探偵兼労働担当の冴羽僚の姿がある事は滅多に無い。


彼が起き出してくるのは、大抵10時過ぎだ。
香が前の職場の時に、早朝のコンビニで見掛けていた彼は殆ど夜遊び帰りの寝る前の彼だったのだ。
事務所は、そのビル(冴羽アパートというらしい)の5階にある。
6・7階が彼の住まいで、このビルは彼の所有らしい。
あの早朝のホテル街で、アシスタントに誘われて早半年。
彼の生態は、なかなかミステリアスだ。










この所の冴羽僚の朝は、以前と違う。
朝9:00になると、階下に人の気配を感じる。
一度、薄っすらと目覚めて、あぁカオリンか。と思ってまた、二度寝する。
このビルの1階から5階までは、一応賃貸物件にはなっているけれど、
今の所、テナントは自分の探偵事務所だけである。
モッコリちゃんなら、いつでも即入居OKなのに何故だかモッコリ美女の借り手は無い。
もっとも、今日びこの物騒な日本一の歓楽街と目と鼻の先で。
その上、オートロックでも無く。
管理人兼オーナーの趣味は覗き、だなんて物件に美女はやって来ない。



しかし、何の間違いか。
美人の入居者はやって来ないケド、美人のアシスタントはGETした。
それも超絶別嬪、スタイルは完璧である。









朝一番に事務所に出て来て香のやる事は、事務所内の掃除だ。
前の日に事務所を出た後にも、僚は遅くまで事務所で過ごしているらしく。
夕方に一度洗った灰皿は、朝来てみるとまた山盛りに灰が溜まっている。
コーヒーを飲んだカップも、デスクの上に放置されている。
毎朝それらを片付けて、床に掃除機を掛ける。
事務所と言っても、普通のマンションの一室で。
3LDK程の部屋を、事務所用に改装してある。
だから、玄関で靴も脱ぐし、普通にキッチンもある。


掃除を終えたら、留守番電話をチェックする。
コチラに依頼をして来る客もいるのだ。
一通り、伝言を確認して行く。
殆どは、キャバクラ嬢の営業電話だ。
重要そうな用件だけメモをして、僚のデスクに置いておく。









5階で香が掃除機をかけ始めたら、僚はベッドをごそごそと這い出してバスルームへ行く。
熱めのシャワーを浴びて、眠気を覚ます。


僚は以前ほど、夜遊びはしなくなった。
前に香が働いていた“例の店”は、実の所あれ以来利用していない。
電話を掛けてももう、香は出ないから。
代わりに昼間、香は自分の事務所にいる。









掃除と留守電のチェックを済ませると、香は一旦ジャケットを羽織って外出の準備をする。
留守電以外にも、この事務所へのコンタクトの方法はもう1つある。


JR新宿駅東口伝言板、そこにXYZというのが合言葉だ。
むしろ留守電よりも、そこに書き込まれる依頼の方が件数は多い。
駅まで歩いて、伝言板を確認してまた戻る。
正味20分程の仕事だ。
けれど、香の一日の仕事はこれがメインなのだ。
依頼は無い事の方が、多い。
午前と午後、一日2回伝言板を確認する。
それでも毎月、僚は一応給料を払ってくれる。
実際、こんなに貰ってイイのだろうかと、不思議になるほどに。








ボクサーパンツ一丁に、首からバスタオルを下げて僚は時間をかけて髭を剃る。
今頃香は、駅の伝言板を確認している時間だろう。
僚はいつも、香が駅から戻って5分ほど経った頃に事務所に顔を出す事にしている。
香はいつも規則正しい。
その香のペースに合わせるようになって、僚もある意味規則正しい。
香が来る前の僚は、適当にその辺にあるものを着ていたけれど。
一応、身だしなみは気にするようになった。


髭を剃った後。
鏡に顔を近付けて、鼻毛が出ていないかどうかもチェックする。
鼻毛が出ていなければ、もう一度鏡に映った上半身を見る。
6つに割れた腹筋を撫でて頷く、こうして自分自身を勇気づけるのだ。










事務所に戻って、オープンの対面式になったキッチンの戸棚から、コーヒーミルを取り出す。
大抵、香が駅から戻った数分後に、僚が起きて来る。
もう1つの香の仕事のメインは、僚のコーヒーを淹れる事だ。


ココで働くようになって数日経った頃、香の淹れたコーヒーを飲んで、
僚が香をコーヒー係に任命した。
内心香は少しだけ、嬉しかった。
自分の淹れたコーヒーを、僚が美味しそうに飲んでくれる事が。









僚が郵便受けから新聞を取って5階に行くと、玄関を開けた途端に香ばしいコーヒーの薫りが出迎える。
アシスタント兼コーヒー係(そして僚の片思いの相手)は、今日も時間通りにコーヒーを淹れる。






「おはよ~」

「…もう、10:30です。」




コーヒーをドリップしながら、香が答える。
これも毎朝のパターンである。
デスクに座った僚が、香の残したメモに目を通していると、熱いコーヒーが目の前に出される。



「…サンキュ。」

「どう致しまして。」



そう言って香がニッコリ笑う。
僚は新聞を読んでいるフリをして、香を観察する。
窓辺に置かれた観葉植物に、声を掛けながら水遣りをする。
前は、そんなモノはこの部屋には無かった。
ある時香が、買って来たのだ。
伝言板を見に行った帰りに。
駅の近くの花屋で見つけたらしい。



僚は、自分に背を向けて植物と会話するアシスタントを見詰める。
華奢な背中と、柔らかなクセ毛。
窓から射す太陽の光が、彼女を美しく照らしている。
初めての出逢いは、電話越しの声だった。
実は彼女とは、別の場所で出逢っていて、カワイイなと思っていた。
初めてキチンと対面して、脊髄反射でアシスタントに誘ってしまった。
アッサリと彼女はOKしてくれたけど、実際の所どう思っているのか。
僚は気になるけど、訊いた事は無い。








とっても暇な、探偵事務所。
なんで彼が、アシスタントを募集していたのか解らない程に、
恐ろしく仕事は暇で。
たまにある依頼も、実際にこなすのは僚の仕事で。
香は退屈過ぎて、観葉植物に目一杯愛情を掛けている。


それでも、香は。

何故だか、この職場に愛着を感じ始めている。
元々、彼の事は。
コンビニで見掛けてた頃から、カッコイイなと思っていて。
それが“あの”噂の冴羽サンだったと解った時には、少しだけビックリしたけれど。
不思議と、嫌悪感は無い。
むしろ、少しだけ。
香の想いは変わりつつある。








ねぇ、カオリン?


何ですか?


今、カオリンが住んでるとこ、家賃幾ら?


は?・・・何でですか?


え、いや、あれだ。あの~~、家賃払うの勿体無いかなぁ~~~とかって思ってさ。


????どういう意味ですか????






香は、首を傾げる。
この数ケ月で、僚は気が付いた事がある。
この目の前の、超絶美人のアシスタントは、超が付く程の天然だ。
殊、僚の気持ちを伝えるという面に於いては。
遠回しな表現では、全く歯が立たない。
それ以外、仕事の面では打てば響く程の勘の良さを発揮する彼女は。
何故だか、色恋方面に於いて中学生程度のスキルしか持ち合わせていないようだ。






ココのビルに越して来ない?


へ???


空き部屋は、沢山あるし。家賃、ただでイイよ?


・・・・・・・(疑)。


な、なに?なんか怖いよ?カオリン(汗)


何を企んでるんですか?


はぁ?


だって、新宿のど真ん中で家賃ゼロなんて、誰が聞いてもおかしいです。


あ、そう?そんじゃ、・・・・2万でイイよ。







香は暫く、思案した。
タダというのは、どう考えても何だかオカシイ。
でも僚は、それなら家賃を貰うと言った。

(・・・2万。)

破格の安さである。
何より、職場まで徒歩0分の好立地。




香が何やら、考え込んでいる。
僚はこの数ケ月で、もう1つ気付いた事がある。
香は、『お買い得』とか『節約』とか『破格』とかに、弱い。
窓辺の観葉植物も、花屋の店先で売れ残っていた可哀相な鉢だった。
最初の値札から、6割引きで叩き売られていた所を、香が救い出したのだ。
恐らく、家賃2万という僚の言葉に、激しく魅せられているに違いない。





・・・・ホントに良いんですか?


ああ。(やった、言ってみるモンだ。)


じゃあ、引っ越して来てもイイですか?


勿論、大歓迎♪ いつにする?

う~~~ん、じゃあ…

いつでもイイよ。

…………




2人はまだ、ただの探偵とアシスタントで。
お互いに、仄かな想いを抱いている。
けれど、その距離は確実に近付きつつある。
今はまだ2人とも、その先の未来など知る由も無い。
退屈で平和な探偵事務所に、香ばしいコーヒーの薫りが漂っている。

















え~~~と、びんちゃん様のご要望は、まだ言葉では気持ちを伝えていない好き同士。との事で。
この位の関係の2人です。
こんなんでどうでしょ~~???びんちゃん様ぁ

お粗末様でした m(_ _)m

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